監査とチームワーク

3月決算会社もこの頃になるとぼちぼち有価証券報告書が出来上がってきて、開示チェックが始まります。忙しさも少し落ち着いて、クライアントに出ずっぱりだったスタッフ達が戻ってきて事務所もワイワイガヤガヤ。

 

監査は、大規模なクライアント以外は、基本的に数人のチーム単位で動いていて、スケジュール調整の関係もあり、大体同じメンバーで複数のクライアントを担当します。なのでチームワークがとても重要です。

 

前にも書きましたが、監査の業務は多岐に渡るので一人でこなすのは不可能です。そこで、サインをする業務執行社員を筆頭に、インチャージ、スタッフというチーム構成が組まれていて、その中で役割分担があります。

 

業務執行社員は基本的にチームメンバーの行なった業務のレビューを行い、重い論点の解決やクライアントの役員クラスの方との対応、最終的に監査報告書の署名を行う監査業務全体の責任者です。

 

実働部隊の筆頭がインチャージ。現場の責任者です。クライアントの現場の方との窓口であったり、問題点などの取りまとめ、スタッフへの業務分担などを行う非常に難易度の高い役回りです。スケジュールと資源配分、コミュニケーション力など、マネジメント力が問われる、ある意味監査では一番やりがいがあるポジションかもしれません。

 

そして、インチャージの指示のもと、スタッフたちがそれぞれの持ち場の業務を行います。新人は比較的やりやすい科目を担当して、徐々に難易度が高い科目を担当するようになります。

 

監査チームはクライアントでも事務所でも一緒に行動することが多いので、ここでの人間関係がこじれてしまうと、非常に辛い状況が待ち受けていて。そういう状況に陥ってしまうとなかなか解決策を見つけるのが難しい。大規模監査法人ならば違うチームにシフトするとか対応の余地があるかもしれないですが、なかなか身動きが取りにくいのが現実でしょう。

 

だからこそ、チームメンバーとの信頼関係はとても大切。それはどの仕事でも一緒ですよね。朝は自分からあいさつしてますか?信頼関係はほんの小さなことから始まります。相手の話にしっかり耳を傾けていますか?何かしてもらったら、すぐに感謝の言葉を口に出していますか?完全におばちゃんの小言じゃん(笑)。でも、ほんのちょっとした気遣いをコツコツ続けることが大事だと思うのです。

 

そして、チーム内がそういうところを意識しあって良い雰囲気になると、クライアントとの関係も良くなってくるから不思議です。クライアントと良い関係を築くコツは、身内である監査チームの雰囲気を良くすることなのかもしれません。

 

監査法人というと、会社の人は身構えがちで、ギスギスした関係にもなりがちですが、本来監査は会社がより良くなるためのものであるはずで、お互い協力関係にあるべき。馴れ合いは良くないですが、ざっくばらんな雰囲気の中で率直に話せる関係が大切だと思うのです。そしてそれはお互いに信頼関係あってこそ、可能になるもの。

 

監査チームが信頼関係のある良い雰囲気だったら、それを見ているクライアントからもここの監査法人は良いな、って感じてもらえるのでは。監査業務自体で他と差別化するのはなかなか難しいですから、良い雰囲気って、結構ポイントが高いのかもしれません。